Changing of the Guard

何千という独立経営型ホテルや、様々なタイプのトラベラーに合わせた個性派チェーンも何十軒と増えた近年。今回は次代のおしゃれなホテルトレンドを作り出す個性派ホテルグループと、そんなグループの代表ホテル。

私たちがTabletを立ち上げてから十数年の間で、世界ホテルシーンの様相は随分と変化を遂げてきました。イアン・シュレーガーに並ぶ者はほとんどいなかったデザイナーズホテル史初期。それが今では、何千という独立経営型ホテルや、様々なタイプのトラベラーを狙った個性派チェーンも何十軒と増えました。今回は、そんな近年のホテル界の常識を変えてきたホテルグループと、そんなグループの代表的なホテルにスポットライトを当ててみましょう。

 

Standard Hotels

 

ザ・スタンダード マイアミ
ザ・スタンダード マイアミ

 

このホテルブランドの名前はそもそも、皮肉を込めて付けられたものでした。「スタンダード」と言いながら、傘下にあるのはどれも、それまでにない型破りな基準を築くべく、デザインにもサービスにもユニークな配慮が見られるホテルばかり。それを指揮しているのは、何かとリスキーなコトに挑戦しつつ、見守る者の不安を見事に驚きの感嘆へと変えるのが得意なホテリエ、アンドレ・バラッツ。ロサンゼルスで始まった同チェーンは、その後マイアミ、ニューヨークへと展開し、常にミッドセンチュリーのデザイン要素をベースにしつつも、今っぽい視点を持ってどこかワイルドな雰囲気を演出しています。
同グループ傘下のホテル:

ザ スタンダード ダウンタウン LA(The Standard Downtown LA)
ザ スタンダード ハリウッド(The Standard Hollywood)
ザ スタンダード マイアミ(The Standard Miami)
ザ スタンダード ハイライン(The Standard High Line)
ザ スタンダード イーストビレッジ(The Standard East Village)
 

Grupo Habita

 

Condesa DF - boutique hotel in Mexico City
コンデーサ・DF

 

カルロス・クチュリエとモイセス・ミチャが仕掛人となったメキシコの気鋭ホテルグループ、グルーポ・アビタは、メキシコシティの元祖「オテル・アビタ」を筆頭に、国境線北の先進国も黙らせる、非の打ち所ないお洒落な都市型ホテルを次々と輩出してきた一軍。母国の主要都市を押さえた後、今ではニューヨークやシカゴといった北米の大都市にも進出し成功を遂げています。
同グループ傘下のホテル:

コンデーサ DF(Condesa DF)
ディストリート カピタル(Distrito Capital)
ラ プリフィカドーラ(La Purificadora)
メゾン クチュリエ(Maison Couturier)
ホテル アメリカーノ(Hotel Americano)
ザ ロービー(The Robey)
ザ ホランダー(The Hollander)

Firmdale Hotels

 

The Whitby Hotel - boutique hotel in New York
ザ・ホイットビー・ホテル

 

一目見ればすぐわかる、キット・ケンプの独創的なインテリアスタイルと、世界最大のホテルチェーンにも負けない本格的な高級ホテルを輩出してきたことで知られるファームデール・グループ。同ブランド元祖となったロンドンのホテルは相変わらず贅沢な定番となっていますが、近年ではクロスビーストリートとザ・ホイットビーというマンハッタンの2軒のおかげで、ヨーロッパに行かずしてファームデールならではの上質なホスピタリティが楽しめます。
同グループ傘下のホテル:

ハムヤード ホテル(Ham Yard Hotel)
ヘイマーケット ホテル(Haymarket Hotel)
ソーホー ホテル(Soho Hotel)
コヴェントガーデン ホテル(Covent Garden Hotel)
クロスビーストリート ホテル(Crosby Street)
ザ ホイットビー(The Whitby)

Bunkhouse Group

 

ホテル・ハバナ
ホテル・ハバナ

 

オースティンにある「ホテル・サンノゼ」の名前を私たちが初めて聞いた頃、テキサス州にはまだ、こんなホテルは他にありませんでした。そして、魔法のような魅力溢れる2軒目「ホテル・セントセシリア」のオープンを経て、経営者リズ・ランバートは、自身の才能が確かなものであることを世に知らしめることとなりました。以来、バンクハウス・グループはテキサス境界線を超え、メキシコにも上陸。これから更なる飛躍が期待できそうです。
同グループ傘下のホテル:

ホテル サンノゼ(Hotel San José)
ホテル セント セシリア(Hotel Saint Cecilia)
ホテル ハバナ(Hotel Havana)
ホテル サン クリストバル(Hotel San Cristóbal)

Ace Hotels

 

エースホテル・ロンドン ショーディッチ
エースホテル・ロンドン ショーディッチ

 

今や”お洒落な”ホテルを目指すホテリエなら誰もが必ず訪れ、場合によってはその個性をコピーしようとする人までいる「エース・ホテル」。もともとシアトルで、それまでどの街にも見られなかった独特な世界観(というか、90年代のロックシーン)を打ち出した一軒として登場した当時は、まさかこれほどまでに近代ホテルシーンを定義付けることになろうと想像した人は少なかったのでは。エリア選びや鋭いデザインセンスだけでなく、実際に人々が交流を図れるソーシャル空間を提案する、ということに専念したそのポリシーが、真似しようにもできない、エースならではの魅力になっています。
同グループ傘下のホテル:

シアトル
オレゴン州 ポートランド
ニューヨーク
ダウンタウン ロサンゼルス
ニューオリンズ
ペンシルバニア州 ピッツバーグ
カリフォルニア州 パームスプリングス
ロンドン ショーディッチ
パナマ

Sean MacPherson’s Hotels

 

ザ・バワリー
ザ・バワリー

 

特にブランド名もなく、ホテルグループとは言えない、あくまで緩〜い関連性を持つニューヨークのとあるホテル一群。でも、この街を代表するホテリエの一人、ショーン・マクファーソンが手がけるホテルは、足を踏み入れればすぐ彼の存在を感じるような場所。仕掛け人の彼同様、一言では言い表せない存在ながら、何度となく訪れてしまいたくなるようなその空間。かつてからミートパッキングの夜遊びシーンの中心となっている「ザ・マリタイム」にはじまり、「ザ・バワリー」「マールトン」、そして「ザ・ラドロー」と、どれも時代を感じさせないニューヨークらしさを上手に演出しています。
同グループ傘下のホテル:

ザ ボワリー ホテル(The Bowery Hotel)
ザ ルドロー ホテル(The Ludlow Hotel)
ザ マリタイム ホテル(The Maritime Hotel)
ザ マールトン ホテル(The Marlton Hotel)

21c Museum Hotels

 

21c ミュージアム・ホテル ルイヴィル
21c ミュージアム・ホテル ルイヴィル

 

大胆なんて言葉では表現しきれないほど、勇気ある場所選びが個性の一つとなった「21C(トゥエンティ・ファースト・センチュリー)」ホテルグループ。第一弾目がルイビルにオープンした頃は、アメリカ国内のデザイナーズホテルなんてまだまだ東海岸か西海岸にしか見つからなかったような時代。ケンタッキー州といえば、木星ぐらい親しみのない場所でした。が、彼らのアートとホスピタリティの融合というアイデアは、瞬く間に大ヒット。以降、他にも思いがけないロケーションに姉妹ホテルを設置し、独特なチェーン展開を果たしています。
同グループ傘下のホテル:

ケンタッキー州 ルイビル
オハイオ州 シンシナティ
ノースカロライナ州 ダーラム
アーカンソー州 ベントンビル
オクラホマ州 オクラホマシティ

VIK Hotels

 

プラヤ・ヴィック ホセイグナシオ
プラヤ・ヴィック ホセイグナシオ

 

ウルグアイとチリで考えられないほど高級感溢れるプチホテルを経営する、という難業をこなしているのがアレクサンダー・ヴィックと、彼の妻キャリー。傘下のホテルはその一つ一つが建築的にもユニークで、館内には世界屈指の芸術作品に溢れています。もちろん、人気のチリ産ワインのセレクションもばっちり。ヴィック夫妻のおかげで南米の旅の基準と期待指数がグンとアップグレードされたのは言うまでもありません。
同グループ傘下のホテル:

プラヤ ヴィック(Playa Vik)
バイア ヴィック(Bahia Vik)
ヴィナ ヴィック(Vina Vik)
エスタンシア ヴィック(Estancia Vik)

25hours Hotels

 

25アワーズ・ホテル テイラード・バイ・リーバイス
25アワーズ・ホテル テイラード・バイ・リーバイス

 

「25アワーズ」グループの熱狂的な創作精神は、そのブランド名に込められた通り。また同グループはデザイン感性においても、ワクワクとした興奮を感じさせる何かを持っています。本拠地ドイツ以外の場所からインスピレーションを集めた国際的なブランドですが、その結果、ドイツ語圏以外からも現代的なデザインに目がないトラベラーたちが続々と訪れるホテルを数多く完成させることとなりました。
同グループ傘下のホテル:

ベルリン
フランクフルト
ハンブルク
ウィーン
チューリッヒ

Paligroup

 

パリハウス ウェストハリウッド
パリハウス ウェストハリウッド

 

オーナーのアヴィ・ブロッシュが手がけるロサンゼルスの3軒のホテルはどれも、ディテールまでしっかり目を向けて楽しみたいホテル。上品なスタイルと近代的なデザイン、控えめな料金設定を取り合わせ、なおかつ妥協は感じさせない魅力を放っているのがパリ・グループのすごいところ。しかもそれを巨大かつ競争激しいこの街で実現しているのだから脱帽です。ホスピタリティ業界ではそこまで知られていないかもしれないけれど、その静かな影響力は、見ている人はちゃんとわかっています。
同グループ傘下のホテル:

ウェストハリウッド
メルローズ
サンタモニカ

Mama Shelter

 

ママ・シェルター パリ
ママ・シェルター パリ

 

業界最高峰のデザイナーズ物件をいくつも手がけた後、高級リゾートブランド、クラブメッドで知られるトリガノ一家の協力を得て、遂に自らホテリエとして足を踏み出したフィリップ・スタルク。そんな彼のホテルグループ「ママ・シェルター」は、スタルクならではの気取りない遊び心満載で、デザインはもとより、サービスや料金設定まで、若々しいエネルギーを放っているのが特長となっています。
同グループ傘下のホテル:

Mama Shelter Marseille
マルセイユ
パリ
リヨン
ボルドー
ロサンゼルス
リオデジャネイロ

Sydell Group

 

フリーハンド ロサンゼルス
フリーハンド ロサンゼルス

 

サイデル・グループといえば、ロン・バークルとアンドリュー・ゾブラーが二人三脚で営む洗練されたホテルブランド。特に高いデザイン性を光らせるメインのホテルは常に、都会的な街並みが広がる、徒歩で散策しやすい都市部のエリアに設置。インテリアデザインから高級ダイニング、アート、そしてリテイル面においても、それぞれの業界で尊敬を集めるトップクラスの才能を起用しています。特に話題性あるバーやレストランのプロデュースが得意で、多くの人が憧れるお洒落スポットなのに、変に気取ることなく、誰でも立ち寄りやすい空間を演出しているのはさすが。
同グループ傘下のホテル:

The Ned
ザ ノマド ホテル(The NoMad Hotel)
ザ ライン ホテル(The LINE Hotel)
フリーハンド マイアミ(Freehand Miami)
フリーハンド シカゴ(Freehand Chicago)
フリーハンド ロサンゼルス(Freehand Los Angeles)
サグアロ スコッツデール(Saguaro Scottsdale)
サグアロ パームスプリングス(Saguaro Palm Springs)
 

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